Reversed Umbrella | 2014.10
敷地概要 所在地: 堺市 敷地面積: 723m2 建物概要 建物用途: 展示場 構造・規模: S造 延べ床面積: 75m2 Webapge Archello
阪神高速道路の終点を直進し、そのまま片道3車線の国道へと自動車は舞い降りていく。その景色はいかにも 都市郊外のバイパス沿いの風景であり、沿道には、立ち並ぶ店舗と大きな看板、その前面の駐車場が織りなす 独特な空のカットラインが連続している。 建築は動かない。しかし人が動くと建築も動く。 建築自身の要素はなるべく少なく、しかし外観には大きな形を与え、自動車で建築の前を移動する人に強い印象 を与えることを意図した。意味を表出するものは記号の集積ではない。建築に与えられた大きな形(変化)が 観察者の視点の移動によりダイナミックに動く。この際、建築を構成する要素は少ない方が良い、意味はより 強くなり効果的である。車のスピードにより躍動するような形態を展示スペースのキャノピーに与えた。 そしてその中心にはあえて小さなジャングルを内包させ、車と儚い自然の対比をそこに意識する。 ベンチューリの「ラスベガス」を意識せずに設計を進めることは難しい。自動車メーカーはどこも自分たちが 創り上げたブランドのCIを非常に大切にしている。必ずしもそれは彼らのエンブレムにて担保される訳で なく、車自身の統合力によって醸造されてきた深みのあるものだ。積重ねられた時間とイメージにより それらは担保されている。新しいことを人に伝えるというよりも、車のイメージをそれぞれの人の心のなか にある引き出しから引き出していけば、看板は具体的な言葉を大きな声で語らなくても良い。その方が 意識に直結し、イメージも損なわれることなく効果的である。この建築/車のイメージが気になった人が この地に立ち寄れば、さらに引き出しの中にはいっぱいのイメージが補填される。 要素と手間を省くことはサスティナブルでもあり、コストパフォーマンスも高い。同時にミニマルにデザイン するということでもある。キャノピーの骨組みは全て鉄骨を溶融亜鉛メッキのままで使い、これにダイレクト に不燃のテントを貼りつけている。仕上や下地を省き、リーズナブルな建築を創っている。 “素”の建築の方がパフォーマンスは高い。