桜ハウス | 2006.06
敷地概要 所在地: 奈良県生駒市 敷地面積: 863m2 建物概要 建物用途: 賃貸共同住宅 構造・規模: RC造、一部S造 延べ床面積: 727m2
桜ハウスは大阪から電車に乗り生駒山トンネルを抜けたら直ぐの生駒駅から歩いて10分足らずの場所に位置 します。生駒山を越えるだけで大阪側とは趣を異にする山に囲まれた落ち着いた雰囲気の住宅街がそこには あります。。敷地の南西には生駒山頂がそびえ、そこには吉阪隆正先生の宇宙科学館が緑の頂に鎮座して います。周辺に拡がりのある伸びやかな敷地ですが、かつて農地であった名残で、北から西にかけての境界線 には円弧状の水路が走り、敷地を扇型に模っています。 敷地から大阪の都心まで30分程で行ける場所にありながら、周辺には山々を望むことができる環境。この環境 を生かした賃貸住居をこの地に計画しました。ソフトとしては、大阪に勤める20歳後半から30歳代の単身者 及びカップルが魅力を感じる住居と位置づけています。1階に2タイプのStudioタイプの住居を8戸、 2・3階にやはり2タイプのMaisonnetteタイプの住戸を8戸、円弧状の敷地境界線をトレースする形で配置して います。各住居へは木製デッキが敷かれたコートよりアプローチしますが、住居に玄関は無く、それぞれの テラスあるいはニッチと呼べるようなスペースを介して外部に繋がっています。 所謂、重層長屋の形式をとり、安全面は元より、スペース的にも無駄な密室となりがちな共用部分を排除し、 外部に開かれた、そして、軽やかなコミュニケーションを重視したアパートメントを造りました。一方、防犯面 とプライバシーの確保の方法も検討し、各住居の入り口となる部分にはエキスパンドメタルの扉を配置すると 同時に、Maisonnetteへのアプローチ階段には6mm厚の鉄板を量袖に貼り付け、意識の上で、それぞれの居住者 の領域の侵害が無いように、また見えるけれども入ってはいけないという防犯上の安心感を醸し出しています。 2階へのアプローチ階段はコートへ降り立つ軽やかなタラップの様な造形を意識しています。住戸内のプランも 余分なスペースを排除し、空間を最大限活用できるように、両面に開いたプランを採用しています。開口方向は 全て開口部という空間を得るため、施工性・コストを考慮し、戸境壁と、スラブのみRC造とし、屋根は 耐火断熱パネルを採用、そのまま内部仕上にしています。金属工事と既成枠アルミサッシの混成により開口部は 構成され、透明部は全て複層カガラスとしています。