南あわじ市営四季の丘団地 | 2004.09

南あわじ市営四季の丘団地 Multi-Units Apartments in Shikinooka
南あわじ市営四季の丘団地 Multi-Units Apartments in Shikinooka
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敷地概要
所在地: 兵庫県南あわじ市
敷地面積: 723m2

建物概要
建物用途: 共同住宅、集会所
構造・規模: 住棟RC造 一部木造、集会所 S造
延べ床面積: 4,372.76m2

掲載誌
2005	新建築 08
2007	日本建築学会作品選集	


2006	Nisscイソバンドデザインコンテスト 優秀賞
計画に当たっての基本的な考え設計プロポーザルにて採用された全50戸からなる町営住宅の計画です。
敷地は海底が隆起した土地を整備した大規模農地の末端に位置します。ポンプアップにて農地化された海抜
10cm余りの敷地に水害も考慮した盛土を施し、ここに若者定住を意識した住居郡を設計します。

初めて計画地を訪れたとき、ストライプ模様のどこまでも続く田園地帯と、そこに浮かぶ、いくつかの小山が
印象に残りました。この環境の中に、あまり鋭く大きな建築は似つかわしくない。まず、一つ一つの建物を
小さくし、それも自然に拡大していった山村の様な住居郡を提案することを考えました。そこで、
インスピレーションを受けたのが“鎮守の森”というキーワードです。建物の配置計画から外溝に至るまで、
このキーワードに沿って展開していくことにしました。

まず、計画地全体を穏やかなマウンド状にこんもりと盛り上げます。ここに2階建ての住居郡を“くずし”た
円環状に配置し、車の動線と駐車場は全て住居の外側に分離します。少し離れて見れば、畑の中に浮かぶ
“鎮守の森”の様な点景が新たに誕生します。そして“鎮守の森”の中に一度、足を踏み入れれば、広場や建物
の辻々に様々な情景が展開する。ここに暮らす人々の記憶の1ページに刻まれる空間、とりわけ子供たちが
“住まう場”の雰囲気を体感し、彼らの原風景の一つに加えてくれるような空間となることを願っております。

中国に“客家”という円環住居があります。ご存知の方も多いと思いますが、外敵から身を守り、集団で生活する
ために作られた、昔から伝わる集合住宅です。屋根には瓦をのせ、その美しい円環と周辺の自然が織りなす
コントラストに目を奪われます。その中心の広場は、共同の作業が行なわれる場であり、家畜が飼われる場で
あり、また、社交や遊びの場でもあります。外部から守られて、安心なこの“中心”を介して、“客家”全体が一つ
の家族のような一体感に包まれます。現代の共同住宅では、強力な外敵から身を守る必要もなく、むしろ周辺
といかにコミュニケーションを保つかに重きが置かれています。当然、“客家”のように要塞化する必要もないの
ですが、この、中心部のコミュニケーションの場を現代に再構築できないかと考えました。“客家”のように
かたくなな人工的な形を表に出すことなく、建物を小さく分棟化し、やさしく中庭を包み込むようにします。