南方熊楠記念館新館 | 2014.11
敷地概要 計画地: 和歌山、日本 建物概要 建物用途: 美術館 延べ床面積:
熊楠という人物を感じる・伝える展示の場を作ります。在野ではありながらも、次代をワールド・ワイドに 切り開いたその生き様を感じる場。それは建築というようなものではなく、番所山に自生するがごとく、 鬱蒼とした植物の間を探して自己増殖する展示の空間です。 実際の展示物も植生が繁茂した中に点在するような様相となるよう計画します。モノコックでありながら、否、 一つの自然のオーダーから出来上がっていながら、様々な様相へと変化することが可能な生のシステム。 このオーダーに包まれて、熊楠の世界感が展開します。 熊楠は世界を股に掛けた思想家ですが、決して放浪者ではありません。当時の日本の中ではかなりハイレベル な生活を生まれながらに過ごした人物であるはずです。異国の地でも、その生活は維持されていました。 持ち物一つをとっても、気品というものが伝わってきます。自然のオーダーとはむき出しのものを創りますが、 それは粗野なものという意味ではなく、自然の摂理によって洗練された様相を呈するものです。 今回の業務では、自然発生する展示の場を設計することを目指します。設計するというよりむしろ、 そのオーダーを創りだす作業であるべきかと考えています。ある建築の中での展示ということでなく、 この後、別に検討される建築が作られる過程でも通底するような自然の秩序=オーダーを提案します。 技術的にもしっかりとバックアップされたオーダーです。 展示の場が施工される際には、地元の大工さんに精を出してもらい、RC造のスラブとコラムが出来上がり、 外壁も簡易な方法で地場の力で作り上げる。そんなオーダーを提案します。布製捨型枠と、 紀州材の捨支保工がそのまま仕上げとなります。