Children Tower | 2004.08
Site Location: Suita, Osaka Prefecture Land area: 135m2 Building Use: Private Residence Structure: Steel and Concrete Floor Area: 191m2
敷地は大阪近郊の戦前から続く住宅地に位置する。小高い丘の中腹に密集する住宅地は、地形の起伏に合せ 形成され、道路も狭いことから、迷路の様な街区となっている。40坪程の敷地にご夫妻と3人の子供、そして おばあちゃんの3世代が生活される住宅を要望された。決して大きくない敷地と建ぺい率の制約等を考慮すると 同時に、建築主が理想としている家族の生活を読み取りスタディーを進めた。 当初、「子供タワー」という造語を使い建築主にプレゼンテーションをおこなったが、このコンセプトが最後 まで貫徹されることとなる。階段室の踊場の部分にそれぞれの子供室を設ける。室とは言っても、入口の大きな 回転扉を開放すれば、三つの子供室と階段室は一体的な塔状空間となる 。断熱面以外の仕上はすべて、床、壁、天井ともコンクリート打放し。窓辺の机とその上のベッドも簡素に 造り付けとしている。質素ではあるが落ち着きのあるコーナーを子供たちに与えることを提案した。 リビングと各子供室とは壁に開いた本棚越しに、お互いの様子がそこはかとなく解る様にしている。 いわゆる「個室」を子供に与えることを避け、食事や団欒はリビングで過ごし、何かに集中する時、あるいは 寝る時に自分の場所に帰れば良いという発想である。 建物全体は上記の子供タワーの部分とRCの箱、及び鉄骨のペントハウス部と3つに大きく分けられる。RCの箱 にはスロープ状のガレージが半地下部分で建物を南北に貫通し、残った部分がおばあちゃんの住居となる。 このガレージの平面形は1、2階では吹抜空間となっており、吹抜の外壁面は南北とも鉄骨カーテンウォールの 開口としている。 2階部分は鉄骨造の入れ子形式とし、軽快に吹抜空間に浮かぶ形となっている。ちなみに北側の カーテンウォールは光だけを導入することを考え、ガラスフェルトを型板ガラスで両面から現場で挟み構成 している。寝室となるペントハウス前面のデッキからは大阪平野を一望でき、何とも言えぬ贅沢な気分を 味わうことができる。